
アメリカでのデモは「黒人差別が原因」とされているが…
アメリカのミネソタ州で白人警官から暴行を受け、死亡したとされる男性のニュースが大きく取り上げられていますね。
アメリカ各地で起きたデモは、日を追うごとにますます過熱しています。
ニュースなどでは「黒人差別が原因だ」ということを発端としていますが、個人的には別の原因も絡んでいると見ています。
それはずばり、
賃金格差・貧困問題
です。
少し前に、白人労働者層が企業の雇止めに抗議したデモを起こしたのは、まだ記憶に新しいと思います。
私個人としては、今回のデモは、あのデモと全くの無関係だとは思えません。
もちろん、長年にわたる人種差別も大きな原因になっていることは間違いなさそうですが、今のアメリカはますます賃金格差が広がっており、同じ国にいても、資産家階級と労働者階級では生活様式や世界観がまるで違ってくるそうです。
今回、なぜこのテーマを挙げたのかというと、この「賃金格差」の背景を見ていけば、日本のこれからの仕事のあり方を探すヒントになると考えたためです。
情報が飛び交っていて、誰にも先が読めない世界になってきているからこそ、自分なりに世界や日本の経済の行く末を予想することが、自分自身のキャリアアップへ繋がると考えています。
アメリカで起きている賃金格差について
アメリカでは長年人種差別や性差別の問題に悩まされてきましたが、特に「仕事」については大きな問題とされてきました。
2018年のこちらの記事では「同じ仕事でも黒人技術者の方が白人技術者より給料が安い」ということが紹介されています。
また、こちらの記事では、ハリウッドでも男女の間で明らかな賃金格差があることが報道されました。
私が学んだ社会の教科書などでは、「アメリカでは差別があったが、今は改善されてきている」というニュアンスで書かれていましたが、調べた限り、差別と賃金格差は現在でも残っている根深い問題のようです。
このように、人種や性別で格差があるのは明らかになりましたが、それだけを原因にするのは早計です。
以前起こったデモは、白人労働者層が中心となっており、参加者は男性も多かったからです。
そして、黒人、白人に限らず、低賃金の人の経歴を見てみると、「両親、または祖父母も貧困層だった」ということが多いということが分かりました。
これはつまり、「大多数の資産家層は先祖も資産家で、大多数の貧困層は先祖も貧困だった」ということが言えます。
一体どうしてこのようなことになっているのでしょうか?
欧米ではOJTの概念は薄い
OJTとは、On the Job training の略で、「業務未経験の新人を、先輩が業務を教えながら、実際の業務を通して成長させる」研修の一つです。
アメリカでは、同じ会社、同じオフィスにいても、分業化が進んでいる会社が多く、それぞれが別の仕事をする一方、他のメンバーがサポートに入る機会は日本ほど多くはありません。
OJTは多少するものの、日本のように新人研修が充実していたり、会社内でスキルアップをサポートする姿勢は日本に比べて弱いのです。
「仕事ができる人には高額報酬を約束します。ただしスキルアップは自分で勝手にやってね。こちらが求めるパフォーマンスができなくなったら解雇だよ」
というのがアメリカの大体の雇用体制です。
そして、多少異なるものの、ドイツやフランスなどのヨーロッパの国々でもアメリカと似たようなシステムを採用しているのです。
日本には、IT企業の採用情報に「第二新卒の未経験歓迎」などという文句が多くみられますが、欧米では「スキルアップは学校や社会人用のスクールでするべきものであり、仕事はできる人ができることをする」というのが基本姿勢です。
端的に言うと、
・欧米は日本以上に「学歴社会」
→良い就職のためには名門大学へ行くことが必須
・名門大学卒業にはお金がかかる
→富裕層の子供しか通えない
ということです。
資産家層と貧困層の壁を壊せる社会の仕組みが必要
先進国と呼ばれるところは、程度の差はあれど、ほとんどの国がこのような賃金格差、学歴格差に悩まされています。
さらに、アメリカのように日本よりもセーフティーネットが十分でない社会では、貧困層の子供が十分な給料をもらえる職業に就くのは、ますます困難です。
さらに日本でも、今後学歴格差や賃金格差がますます顕著になってくると予想されていますので、国としてはその格差を埋められるような対策が必要になってくるでしょう。
そして私達のような、今現在働いている人は、こうした格差が広がるリスクを頭に置いたキャリア形成が必要です。
昇給昇進に必要なスキルを磨いたり、企業や転職を視野に入れて勉強することもその一つです。
あるいは職を変えなくとも、投資で資産形成をするのも一つの防衛手段になるでしょう。
将来自分に何が必要なのかを把握して、積極的に情報を集めることが、その一歩になると考えています。